代表挨拶

分光学は肉眼をはるかに超える「科学の目」を提供し、自然をより深く観察し、理解しようとする私達の知的活動の最前線を支えてきました。分光学はそれに加えて、社会生活を革新する様々なイノベーションをももたらしてきました。例えば核磁気共鳴(NMR)にもとづく磁気共鳴画像装置(MRI)は、非侵襲診断装置として現代医学に不可欠な医療機器となっています。しかし、分光学の貢献に対する社会的認知度は低く、また私達分光学者も、その社会的意義を十分に意識しているとは言い難い状況にあります。

分光イノベーション研究会は、分光学の社会的意義をより明確に意識し、分光学者が本来担うべき社会的責任を確実に果たして行くことを目標にしています。具体的には、大学院生や博士研究員のキャリアパス支援(大学、研究所、企業の求人情報と就職希望者の個人情報の相互照覧)、有望な若手研究者の発掘と国際デビュー支援(国際会議招待講演への推薦)、分光学の社会人教育(経験豊かな先達による俯瞰講義、ホームページの解説記事)などを通して、学界と産業界を股に掛けて活躍する人材を養成することを当面の目標としています。

分光学をしっかりと学んだ学生には、必ず望む職が用意され、優れた分光学者を擁する組織には、必ず研究、開発の成功がもたらされるよう、分光イノベーション研究会は、学界と産業界のコラボレーションのお手伝いをして行きます。多くの皆さんの積極的な参加をお待ちしています。

2012年11月
分光イノベーション研究会代表 濵口宏夫